浅草製鞄 玉田商店

浅草、そして日本製にこだわる理由

玉田金一郎は創業以来、浅草という土地にこだわり続けている。そ の理由は何なのだろうか。「この一角は昔、職人町だったんだ。昔は よく自転車に乗って問屋や材料屋に通った。

浅草で仕事をするということは、問屋や材料屋が近いというメリット もあるし、同業者が多いから情報も早い。こうした地の利は絶対に必 要です。それに玉田商店が台東区の地場産業を支えているという意識 もある」

玉田金一郎は、平成18年 台東区優秀技能者(第31回)地場産業部門で表彰される。玉田商店の確かな仕事、そして生まれ育った地元への愛情が多くの人々に認められた証である。 台東区優秀技能者 受賞の技能・功績の概要にはこんな一文がある。『純国産にこだわり、細部にわたって技術の高度化を目指している』と。
玉田商店は創業から一貫して純国産にこだわっており、製作に関わる全ての行程を、腕の確かな日本の職人に託している。どんなに繁盛期でも、そのスタイルを変えることはなかった。それも玉田金一郎のこだわりのひとつだ。現在日本には中堅の鞄メーカーが230社ほどあるというが、日本人だけでやっているメーカーは10社あるかないかだろう、と玉田金一郎は言う。

「食品偽装の事件以来、製品が並ぶデパートでは“このバッグはどこで作ってるんですか?”と聞かれることが多くなったそうです。そして消費者は日本製の製品を選んで買って行く。当然、腕の立つ日本の職人に頼むという事はその分コストが高くなる。それでも玉田商店は純国産の製品にこだわっている。
こんな時代だからこそ、技術が安定していて確かな製品を提供し続ける必要があるんだ」 玉田金一郎は鞄職人一筋を貫き続け、すでに45年以上の歳月が経過したが、鞄に対する熱意と愛情は今もなお衰えることがない。インターネットが普及する以前から海外の鞄のカタログを取り寄せたり、インターネットが普及している現在では、あらゆるウェブサイトを閲覧し、新し い鞄の発想を膨らませている。また、玉田商店の製品は、同じ型であっても、常に製品を改良し続けているのだ。それは問屋や実際に鞄を使っているユーザーからの声を反映したものだ。見た目からはわからない部分だが、同じ製品でも芯材や補強材などを改良しつづけている。

「うちの製品は、長く使える製品を目指して製作している。10年以上デザインが変わらない製品もある。昨今の流れだと、 1シーズンで売れなくなってしまう製品もあるけど、玉田商店の製品は長く売れ続けるからこそ抜き型などのコストも抑えられるし、細かい改良ができるんだ。長く使ってもらえるのは職人としても嬉しい事だしね」 玉田金一郎にとって、最高の鞄とはどのようなものなのだろうか。 「ブランド品にも負けないようなセンスのある製品であることはもちろんだけれども、玉田商店の鞄を買ってくれた人に、 “また玉田商店の鞄を持ちたい”と言われること。それが一番なんじゃないかな」